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2005/09/28 掲載 「福祉コーナー−感性生かし、人気の擬似体験−朝日新聞秋田版朝刊」

 18日に開かれた文化祭で、生徒とともに「福祉コーナー」を立ち上げました。「一般参加者が、車イスやアイマスク体験、高齢者の疑似体験などの活動をする場にしたい」。文化祭の企画などが決まる6月、担当の先生に企画案の説明をしました。 

 2年前、前任の土崎中の文化祭で、福祉コーナーをやりました。今回、生徒と一緒に企画を実施することで、2年前のバージョンアップを狙いました。 

 提案から数日後、承諾が得られました。「三戸先生らしい企画ですね。がんばって」と同僚の先生。この企画が生徒へのより良い教育につながるかどうか。この視点を一番大切に心がけ、提案しました。 

 「生徒は、各学年と男女比が均等になるように」と同僚の先生方にお願いしました。夏休み明けてから、福祉コーナーを担当する15人の生徒と対面しました。「車イスやアイマスク、高齢者の疑似体験のサポートをするのだよ」と内容を説明しました。今回初めての企画でもあり、生徒も具体的なイメージを描くのが難しい様子。 

 初めに企画の名称を考えました。生徒の感性で命名してほしいと願い、話し合いの結果「Let’s福祉〜体験!バリアフリールーム〜」に決まりました。体験内容は、生徒と考えました。車イス体験は、マットと踏み切り板を使って坂を作り、アイマスク体験は、手で触ってシャンプーとリンスを識別してもらいました。高齢者の疑似体験では、道具をつけたまま、お茶を飲んでもらったり、封筒を切ってもらったりしました。 

 準備は、NPO法人「秋田バリアフリーネットワーク」で活動する知人らの協力を得ました。秋田公立美術工芸短大の「大学開放センターアトリエももさだ」で、車イスの使い方や高齢者の疑似体験をするための方法、留意点などを学習。僕はその様子を撮影し、生徒が写真を使って模造紙にまとめ、会場で展示しました。 

 「あまり人が来なかったらどうしよう」 

 本番が近づくにつれ、僕は不安にかられました。たくさんの人が体験することで、生徒が満足感や達成感をもってもらえると考えていたからです。当日、秋田バリアフリーネットワークのメンバーの2人が社会教育活動の一環として来場し、生徒の活動を見守ってくれました。午前10時を過ぎ、少しずつ人が集まり始めました。体験者には、ゼッケンを付けてもらいましたが、それが足りなくなるほどの人気でした。90分間の活動で、受付人数は38人。ある生徒は「こんなに来るとは思わなかった」。 

 一方、文化祭を通じて、地域のいろいろな機関とかかわりました。例えば、準備期間中にこんなことがありました。ある生徒が「たくさんの人に来てもらうために、着ぐるみを着て呼びかけてみては」と発案。早速、近くのルーテル愛児幼稚園に問い合わせ、ウサギやパンダの着ぐるみを貸してもらいました。また、同僚の先生と秋田市社会福祉協議会に疑似体験をするための車いすなどの道具を借りに行きました。 

 「楽しかった」。文化祭終了後の後片づけの時、生徒たちが笑顔で言ってくれました。僕にとって、何事にも代え難い一言を聞くことができました。



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