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2005/08/17 掲載 「バーベキュー―地域の協力で焼き鳥初体験−朝日新聞秋田版朝刊」

 雄物川の花火大会があった11日の晩、自宅近くの広場でバーベキューをしました。6月の鹿嶋祭りで知り合った町内のAさんから勧められ、やりたいなぁと考えていました。中学卒業後、担任の先生が大森山グリーン広場でバーベキューをしてくれた思い出も頭に残っていました。 

 花火大会の1週間前、そのAさんに相談し、協力を取り付けました。場所は町内会館の隣の広場。「設営はこちらでやるので、先生は肉や野菜を買って、生徒と楽しんでください」とAさん。手足に障害のある僕にとって、会場設営は自分一人では困難なので、サポートは助かります。 

 夏休み中なので、生徒に直接呼びかけず、僕がバーベキューをしているところに、花火を見に来た生徒たちが立ち寄れるようにしようと考えました。 

 10日の予定だった花火大会は、降雨の心配から11日に順延になり、当てにしていた友だちが来られないことに。弱りましたが、11日の朝に別の友だちが来てくれることになりました。 

 当日の午後、生徒が何人来るのか検討が付かないため、豚肉と鶏肉を合わせて20人分と、野菜やジュースを買いました。 

 自宅アパートは雄物川に近く、午後6時ごろにはアパートの前をたくさんの人が歩いていました。荷物を持って広場に行こうとしたとき、3人の男子生徒が「先生の電動車イス置き場に、自転車を置かせてほしい」と頼んできました。僕は「近くでバーベキューをやるから、よかったらおいで」と誘うと、生徒は早速ついてきました。 

 電動車イスで2分弱。広場にはブルーシートとテーブル3卓、バーベキューセットなどが用意してありました。Aさんは電気を引き、照明も準備してくれていました。 

 生徒たちがホットプレートで肉を焼き始めると、川沿いを歩いていた別の生徒が「何をやっているの?」と集まってきました。 

 生徒が焼き肉をおいしそうに食べているときに、僕と友だちの大人2人は炭に火をつけることに悪戦苦闘していました。ようやく、炭に火が付き始めたころ、花火が始まりました。 

 網に肉を置き、うちわを仰ぎ、串を返して、焼き鳥を作るのは初体験でした。串を返し返し、ジューという音を立てて、肉が焼けていく様子に感動しました。生徒に焼きたてを勧めると、生徒はフーフー言いながら「おいしいよ」。 

 僕ら大人2人も、生徒が焼いた肉を食べながら花火を楽しみました。食べ終わった生徒が川へ向かうと、入れ替わるように2人の女子生徒が寄ってきました。 

 くつろぎながら花火を見ることができたせいか、この後もたくさんの生徒が集まってきました。「生徒が誰も来なかったらどうしよう」という僕の不安をうれしくも裏切りました。 

 午後8時40分ごろ、花火が終わると、Aさんが「どうでしたか」と訪ねてきました。30人以上の生徒が来て、喜んでいたことを伝えました。Aさんは、会場の撤去も買って出てくれました。 

 こうした野外パーティーは、地域の協力がなければできません。Aさんに感謝しています。僕は、中学生のとき、先生が焼いてくれた焼き鳥の味を今でも覚えています。今年の花火大会は忘れられない夏休みの思い出になりそうです。



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