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2005/07/27 掲載 「みんなの登校日−意外?生徒の発想力に感動−朝日新聞秋田版朝刊」

 今年度、県教委は地域に開かれた学校を目指して「みんなの登校日」を設定しました。1〜6時間目までの授業を自由に参観できる開放日です。秋田西中では、6月28日〜7月1日がこの「登校日」でした。いつ来ても、いつ帰っても良い気軽さがあります。 

 ある方から数学や英語の時間になぜ教師が2人いるのか、質問されました。複数の教師がいると、生徒一人ひとりに応じた指導ができるためと説明したら、「私たちの頃と違い、今の子どもは恵まれていますね」と話していました。 

 この期間の1年の授業での1場面。「袋入りのサクランボを3袋買いました。1袋に、サクランボがχ個入っていると、全部で何個あるか」という問いに、ある生徒は「χはアルファベット順で24番目なので、24×3=72個です」と答えました。正答は「χ×3=3χ個」ですが、この生徒の考え方に感動しました。 

 普段、授業中に自分の考えをどんどん発表するよう教えています。「間違っても恥ずかしくない。テストで間違った方がよっぽど恥ずかしい」と日頃から指導しているので、その生徒を思いきりほめました。 

 ある参観者から「χ×3=72は大傑作でしたね。子どもの発想の豊かさと、そこにしっかり応える先生の姿勢にほのぼのとした心地よい感動を得ました」と言っていただきました。 

 中学校は教科担任制なので、授業前に各クラスの「教科係」が、担当教師に準備するものはないか、聞きにくることになっています。例えば、授業で使うプリントの配布を頼んだりします。教科係の生徒のおかげで、始業ベルと同時にプリント学習ができます。 

 授業前に、僕は必ず数学係の生徒にプリントとカゴを持っていってもらい、ローラー付きのイスを準備するよう頼みます。カゴとイスは、僕が授業する上での必需品。カゴの中には、七つ道具(教科書、ノート、チョークフォルダー、指示棒、磁石、マジック、黒板に張る学習カード)が入っています。 

 電動車イスで教室に向かい、教室でローラー付きのイスの乗り換えます。立ったまま板書ができないため、イスに座って板書をします。板書の際、床を足でけり、イスごと移動します。 

 ローラー付きイスは、昨年、西中に赴任した際に学校が購入してくれました。電動車イスは、フットレスト(足をかける部分)が邪魔でうまく床をけることができないので、授業には適していません。 

 最近、1年の生徒が電動車イスとローラー付きのイスに乗らせてほしい、と頼んできます。正直、僕は悩みます。「これは遊び道具でない。僕にとって大切な道具だ」と言うと、生徒は「そんなこと分かっているよ」という表情と、「乗りたそうな」な表情を浮かべます。生徒の気持ちを確認したうえで、許可しています。 

 初めて乗る電動車イスに生徒は「結構、スピードが速いね」と感想を寄せます。時速4・5`が速く感じるようです。 

 2、3年生の生徒は「体験をしたいから乗らせて」と言います。「痛いところをついてくるなぁ」と思います。乗っている様子はどう見ても遊んでいるようにしか見えませんが、「先生の気持ちが分かったよ」と返してくると、何だかうれしい気持ちになります。そして、体験学習に興味を示す生徒が気軽に僕の階段のサポートなどをしてくれています。 

 憎めない生徒たちです。



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