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2005/05/11 掲載 「春の日曜散歩−教え子から打撃指南、汗流す−朝日新聞秋田版朝刊」

4月17日(日)に電動車いすで散歩しました。愛用する機種はスズキのMC−16です。電動車いすは進みたい方向にジョイスティック(ハンドル)を傾けると進みます。スピードは時速2、4、6キロの3段階。時速4キロが人間の歩くスピードですが、その時の気分で、速度を変えます。 

電動車いすに乗っていると、目線の高さが約1メートルで景色が違います。道端のツクシに春を感じました。生徒や保護者、地域の方が声をかけてくれ、ちょっとした立ち話。何気なく立ち寄ったスーパーでは、以前に非常勤講師として勤務していた豊岩中の教え子が店員をしていました。 

店員が「三戸先生。私のことを覚えていますか」。顔を見て、「ウン、分かるよ。アルバイトしているの」と聞くと、教え子は「そうです。私は秋田大学教育文化学部の2年です。今年20歳になります。先生、来年の成人式に来てくれませんか」。「20歳…あれから6年か」と当時の生徒の様子を思い浮かべながら、教え子の成長を喜びました。 

 秋田西中の隣にある新屋大川端帯状近隣公園を通ると、芝生で生徒らがサッカーをしていました。生徒から「一緒にサッカーしよう」と誘われました。身体を動かすことが好きな僕は「やろう」と、4人の生徒と一緒にパスを回しました。電動車いすから降りて、サッカーボールをけりました。久しぶりでした。 

小学生の頃、近くの公園でサッカーをしたことを思い出しました。「先生、なかなかできるじゃん」と言い、僕がけりやすいボールをパスしてくれました。40分くらいやって、「また遊ぼう」と生徒と約束して帰宅しました。 

翌週の24日(日)。夕方の帯状近隣公園には、先週の2倍以上の生徒が芝生で遊んだり、ベンチで話したりしていました。 

野球部の生徒2人がバットとグラブを持っていました。「キャッチボールをしよう」と呼びかけたら、1人が「先生、キャッチボールできるの」と聞くので、「できると思うよ」と答えました。電動車いすから降りて、生徒のグラブを借りて、キャッチボールをしました。 

生徒は僕が取りやすいように球を投げてくれましたが、僕はなかなかバシッと取ることができません。10分くらいやって、10球に1球くらい、球がグラブに収まるようになりました。「先生、取れるようになったじゃん」 

続いて、僕はバッター役になって、生徒が投げた球を打ちました。「ど真ん中だよ」と投げる球をなかなかバットに当てられません。「振り遅れている。もっと、速く振った方がいいよ」という生徒のアドバイスに従ったら、球が前に飛びました。「先生もやれるんだね」と言われて、「そうだよ」と自慢げに答えました。 

 今年は桜の開花が遅く、例年ならば大型連休中に散っていますが、今年は連休中に見ごろを迎えました。5月1日(日)、電動車いすで帯状近隣公園に行くと花見客でにぎわっていました。散歩していると、「三戸、こっちこっち」と呼ぶ声。新屋地域に住む友人、知人が花見をしていました。「ストロー持っているよね」と、太陽の下でビ 

ールを飲みました。 

 ここ1ヶ月、気晴らしに電動車いすで日曜日に散歩しました。僕も秋田西中の学区内にする地域の一人なんだなぁと実感しました。



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