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2005/04/20 掲載 「1年生の授業−高い学習意欲引き出したい−朝日新聞秋田版朝刊 」

新年度が始まりました。今年度は1年部所属の数学科主任で、情報科学部担当、男子卓球部長になりました。 

 5年間の教師生活で、主に1年生の指導を多くしてきました。小学校を卒業し、大きな期待と少しの不安を抱いて入学した1年生。胸の中に抱えている新鮮な気持ちを大切にしていけるような指導をしたいと思います。同様に、中学校の校則や学習への取り組み方をしっかりと理解させる指導も大切です。 

 3年間の中学生活を考えたとき、中1には中1でしか教えることができない大切な内容があります。中1の学校生活が土台となって、中学3年間の学校生活があります。今までかかわってきた生徒で、1年生のときに学習面と生活面で真剣に取り組んだ生徒の多くは、中学校生活をとても充実させていました。 

中学になると教科担任制となり、授業ごとに先生が変わり、教科名も算数から数学へと変わります。今まで教えてきた1年生の中には、中学校の学習に対して「難しいのかな」と不安を抱えている生徒がいました。一方、「どのような学習をするのだろう」という知的好奇心があり、ほとんどの生徒は高い学習意欲を持っていました。 

 先日、1年生の最初の授業をしました。初授業は、僕も緊張します。生徒にとって生まれて初めての数学の授業。その貴重な瞬間に、毎年僕は立ち会っています。僕には、生徒一人ひとりと数学との出会いを確かなものにしていく役割があると思います。 

 数学に対して、学ぶ前から苦手意識を持っている生徒がいます。数学を3年間学ぶにあたり、ぜひとも必要な基礎的な学力を身につけさせるという大切な役割があります。また、数学の力が身に付く学習の仕方(予習・復習、ノートの取り方など)を繰り返し指導することも大切です。これらのことを念頭に、1年生とかかわっています。 

 最近、僕が1年生とかかわることは、僕のありのままの姿を知ってもらい、受け止めてもらう良い機会のような気がしています。校内を電動車いすで歩く姿、同僚の先生方の協力を得て階段の上り下りをする姿、言語障害がある僕の言葉、いすに座って授業し、板書する姿、僕の字……これらを1年生は少しずつ目の当たりにします。その中で、数学を分かりやすくするため、誠心誠意努力している姿を生徒に伝えることができたらと思っています。 

 毎年、1年間教えた生徒と一緒に持ち上がりたいという気持ちがあります。3年間、同じ生徒に数学を教えたい、学級担任になり、生徒を指導したいと思っています。教師になった以上、なるべく早く持ち上がりの3年間や学級担任を経験したいと考えています。 

 しかし、僕の一番の仕事は生徒に数学を教えることです。僕が働きやすい学校に整えることも大切ですが、それ以上に生徒にひたむきに教えることです。すべての生徒が「三戸先生から数学を習って良かった」「西中に、三戸先生がいてくれて良かった」と思ってもらえるように、今年度も、一人の人間の幅を広げながら……。 

 いつも視線の向こうに生徒がいる生き方を続けていきたい。与えられた条件の中に、限りなく大切なものがあるはずと思っています。それを見逃さないようにしていきたい。



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