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2005/04/06 掲載 「新年度を迎えて-恩返しの心膨らむ2年目-朝日新聞秋田版朝刊 」

今年度も、母校の秋田西中で勤務することになりました。昨年の今頃は、初めての転勤で、机やロッカーの荷物をまとめたり、同僚にあいさつをしたりしていました。そして、何よりも新しいアパート探しと引っ越しがありました。昨年に比べたら、精神的に余裕がある春休みです。 

「生徒が休みのとき、先生方も休みなのでしょ」と、ときどき聞かれます。生徒が春休み中でも、教師は通常勤務です。僕は04年度の事務処理と新年度への準備をしていました。 

 ほとんどの事務処理はIT化が進み、パソコンでできます。同僚の先生は「これからは、ますます学校の事務のIT化が進むだろうから、三戸先生の活躍の幅が広がっていくと思いますよ」と言っています。 

 例えば、04年度の数学の授業で、少人数学習指導を何時間実践したのか時間数を求めるのに、表計算ソフトの関数を使用すると、すぐに計算してくれます。パソコンは自分ができる仕事の幅と可能性を広げてくれるので、パソコン雑誌を読んでいます。 

 新年度の準備に、机の中の書類を整理しました。整理をすることで、気分が一新します。必要な書類とそうでない書類に分け、不要な書類はシュレッダーにかけます。毎年、年度末にはシュレッダーがフル稼働します。粉々に砕かれた紙くずがゴミ袋で何袋にもなります。必要な書類は、ファイルにまとめてとじました。これらは手作業を伴うので、僕は他の先生方と比べて時間がかかります。 

 また、パソコンで作成した書類は、専用フォルダを作り、まとめました。そのフォルダの中に、さらに「数学」「各行事」「総合的な学習の時間」などのフォルダを作り、パソコン内も整理・整頓しました。 

 最近、厳しい寒さから春らしい天気になってきました。心地よい春の日差しに、心が躍ります。 

 学区内を電動車いすで散歩しました。気の向くままに、車いすのハンドルを動かしました。昔なじみの風景の中には、幼い頃に友だちと遊んだ思い出がぎっしりと詰まっています。 

 一方、新屋地区は新興住宅地であり、子どもの頃は空き地だった所に新しい家々が立ち並んでいました。目の前には、変わりゆく新屋地区が広がっていました。一人で感傷的になり、電動車いすを走らせていると、生徒や保護者、地域の方から「センセイ!」と声を掛けられました。 

 声を掛けてくれたことにうれしくなり、少し立ち話をしました。お互いの信頼関係を築くことにつながったと思います。 

 今年度、母校での教師生活は2年目。僕を育ててくれた地域に、生徒を通して恩返しをしたい気持ちが改めて膨らみました。 

 さて、「ガクちゃん先生の学校通信」も新年度を迎えました。これまで、僕が見て感じた生徒や教育現場をつづることで、障害者教員が教育現場にいることが当たり前の風景になることを信じて、あるいは願って、書き続けてきました。 

 今後も、この気持ちには変わりありません。 

 この連載を通して、読者の心に一滴の雫(しずく)を落とし、静かな波紋となり広がり、すべての人々が共に生きていこうとする意識につながるといいなぁと思いながら、書き続けます。これからも、ご一読のほどを。



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