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2005/02/23 掲載 「障害者講話-違う価値観に触れる大切さ-朝日新聞秋田版朝刊」

教師をしていると自分が実践する教育内容を発表する機会があります。また、「障害者講話」という形で自分の体験を先生方や生徒たちに話すこともあります。 

 2月9〜10日、天王町の県総合教育センターで県教育研究発表会がありました。2日間、AからJまでの会場に分かれ、約80人の県内の先生方が日頃の実践内容を1人30分の持ち時間で発表しました。 

 僕は、昨年夏にアメリカを訪れた「海外自主企画研修」の結果を報告。研修で違う生き方や価値観に触れ、研修後は総合的な学習の時間を利用して自らの生き方を見つめ直す福祉教育をしました。その実践内容を聞きに来てくれた15人の先生方にパワーポイントを使って話しました。 

 また、同僚の先生方が10月に開いた「海外研修報告会」でも研修について話す機会がありました。 

 12月9日には秋田西中で3年生の「一日福祉校外体験学習」がありました。その日一日、地域の福祉施設を訪問したり、高齢者の障害者疑似体験をしたり、五つのコースに分かれて学習しました。 

 このコースの一つ、「三戸先生の福祉講話」には、65人の生徒が集まりました。生徒一人ひとりの学習課題と知りたいことを事前に把握して、講話の内容を組み立てました。その主な内容は、アメリカ研修で学んだこと▽毎日の生活の不便な点▽これからの夢・生き方、などでした。講話は「いっしょに生きる〜人は一人で生きられない〜」と題して、途中10分の休憩と質疑応答を含めた約90分間、生徒はメモを取りながら聴きました。 

 この講話から約一週間後、生徒たちがどう変化したか教育効果を確かめるため、7項目の「バリアフリーに関するアンケート」をしました。その結果の一部を紹介します。 

 ○「バリアフリー」という言葉を知っていましたか。 「はい」97%▽「いいえ」3% 

 ○「バリアフリー」の言葉をどのように知りましたか。(九つの選択肢) 新聞16%▽テレビ・ラジオ52%▽本12%▽マンガ2%▽友だち2%▽両親3%▽先生(授業)50%▽インターネット3%▽その他2% 

 ○「バリアフリー」のイメージを色で表現すると、何色ですか。(上位3色とその理由) 白色|バリアフリーは普段気づかないところにあるから▽黄色|点字ブロックの色▽オレンジ色|優しく温かいイメージがあるから。 

 ○講話を聞いて「バリアフリー」に関する考え方が変わりましたか。 「はい」86%▽「いいえ」14% 

 ○秋田西中で誰もが生活しやすくするためにあなたができることは何ですか。 「みんなが仲良くして生活しやすくすればよい」「困っている人がいたら自分から声をかける」「整頓する」……。 

 講話後の生徒の感想文とアンケート結果から、「障害者講話」を多くの生徒が望んでいることが分かりました。生徒たちが違う見方や価値観に触れて、障害者の苦労や悩みを聞くことで、この世の中に自分とは違う多様な人間が生きていることを知り、幅広い人間形成の一助になると考えています。障害者講話は決して福祉や障害者理解の側面だけでないことが分かりました。 

 冒頭の教育研究発表会では、各学校で「障害者講話」をどのように位置づけていくのかが今後の課題であることを話した結果、聴いていた先生方の賛同を得ることができました。 

 なお、教育研究発表会で使用した発表資料は、僕のホームページ「ガクちゃんWORLDへようこそ」(http://www.gakuchan.com/)の「ボクの実践」に掲載しています。良かったら、ご覧になってください。



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