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2004/9/29 掲載 「オリジナルソング−本番へ練習重ねたキーボード−朝日新聞秋田版朝刊」

 7月ごろ、同僚のI先生と「今年は創立40周年の節目。文化祭で何かしたいね」と職員室の立ち話をしたことがきっかけで、「オリジナルソングを作って、歌おう」ということになりました。「無」から「有」を作りだす作業が好きな2人は、すっかり意気投合しました。 

 8月下旬、自称「スクールギタリスト」のI先生から「これに詞を付けてくれないか」と一枚の楽譜を手渡されました。見ると、曲ができていました。僕は楽譜を読むことができないため、生徒に伝えたい思いや西中卒の先輩として後輩にエールを送りたい気持ちを、曲にとらわれず詞にしました。自分の中学校生活を思い出し、中学生の心に届くよう言葉を選んで詞を書きました。 

 9月3日の放課後、I先生のギターで初めて曲を聞きました。「愛と平和とロックンロール!」がモットーのI先生が作った曲はイメージとは裏腹に、フォーク調でした。「この曲に詞が乗るのだなぁ」と思うと、気持ちが高ぶりました。「詞の7割ぐらいは、そのままメロディーにはまる。残りのフレーズを考えていこう」とI先生。その日から校内の1室で共同の歌作りが始まりました。メロディーにはまる言葉を探る中で、歌への2人のイメージが一つになりました。完成した歌のタイトルは『風になれ』。2人のユニット名は「自遊人」です。 

 18、19の両日が西中祭でした。19日の一般公開で、イベント部門の企画の一つに体育館でのステージ発表がありました。そこに出演するため、オーディションを受けて「合格」。オリジナルソング『風になれ』と、2人が大好きな「The Blue Hearts」の『リンダリンダ』を歌うことにしました。生徒が文化祭の準備を終え、完全下校した午後7時過ぎ、毎日ひそかに練習しました。 

 『風になれ』は1フレーズずつ交代で、サビは一緒に。『リンダリンダ』は出だしが僕で、後は一緒に歌うことにしました。I先生のギター演奏を見て、僕も楽器を演奏できないかなぁと思い、I先生に頼んで歌の前奏や間奏で、キーボードを弾くことになりました。I先生は「ド・ファ・ド・シ・レ・ドだよ。鍵盤を押すことができる?」。僕は右手の親指と人さし指の2本しか自由に動かないため、2本の指だけで鍵盤をたたきます。ドからシに動かすことが一番難しかったです。初めは無理かなと思っていましたが、少しずつできるようになり、当日に間に合わせたいと、練習を重ねました。僕がキーボードを弾く姿を生徒に見せたかったのです。 

 ステージ発表の前日、校長先生に『風になれ』を聞いてもらいました。「素晴らしいね」と褒めてもらいました。当日、『風になれ』の詞と「自遊人」のプロフィルを書いたビラを受付係の生徒にプログラムと一緒に配ってもらいました。 

 当日、ステージに上がると、予想以上にたくさんの人が来ていました。衣装はサングラスと帽子姿。I先生が「決して怪しい者では、ありません」と「自遊人」を紹介。「西中生にささげるオリジナルソング『風になれ』を聞いて下さい」とI先生のナレーションで演奏が始まりました。前奏のキーボード演奏は思うように指が動かず、ドとシの音が重なってしまいました。少し残念でしたが、気を取り直して演奏を続け、「自遊人」は最高のパフォーマンスをしました。 

 歌い終わった後の拍手。生徒からは「かなり怪しかったけど、また聴いてみたいな」。



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