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2004/09/15 掲載 「お食事セット-米国ではフォーク出番なく-朝日新聞秋田版朝刊」

食事をするとき、フォークとストローを使います。フォークははし代わりに、ストローは飲料水を飲むときに使います。はしでも食べることはできますが、フォークの方がきれいに食べることができます。ストローも同様で、コップを持って飲むより、ストローを挿して吸い上げた方がきれいに飲むことができます。フォークと数本のストローを筆箱のようなケースに入れて持ち歩いています。これを僕は「お食事セット」と勝手に呼んでいます。 

10年前、あるレストランで、「すみません。フォークをお願いします」と店員に言うと、用意されたのはお子様用のフォーク。取っ手が小さくて持ちづらく、結局友だちに食べさせてもらいました。また、ストローを頼むと、差し出されたのは細いストロー。直径が細いため、何度も吸い上げないと飲むことができず、とても疲れました。このような経験から、使いやすいものを携帯した方が良いと確信。外出するとき、必ず携帯しています。 

給食は「お食事セット」を持って、1年1組の教室で食べています。4月当初、生徒に「中に何が入っているの」と「お食事セット」について聞かれました。「開けてもイイよ」と言うと、生徒は楽しそうに開けて、「フォークとストローだ〜」と驚きました。「なんで入っているの」と疑問に思う生徒も僕の食べ方を見て、納得していました。 

人前で食べるとき、上手にきれいに食べようと気を使います。しかし、ポロポロとこぼすときがあります。「先生と一緒に食べたくない」と生徒(特に女子生徒)が言うのでないかと心配していました。最初、そのようなそぶりを見せていた生徒も、決して上品でない僕の食べ方に慣れてきた様子。「先生、ここにご飯粒がついているよ」とほおを指さしたり、「先生、床にこぼしたよ」と教えてくれたりします。 

給食の時間中、生徒に、「パンの袋を開けて」「ストローを牛乳に挿して」と声をかけて、サポートしてもらいます。初めは戸惑っていても、実際に僕が苦労しながら袋を開ける姿を見せると「先生、開けるからかして」と生徒。慣れてくると、自発的にパンの袋を開けてくれる生徒が現れてきました。 

生徒たちは僕の食べるペースを「先生、早いね」と驚きます。いつも、おなかが減っているので黙々と食べています。不随意運動のある僕を見て、とても自分よりも早く食べられるとは思わないようです。 

この夏のアメリカ研修にも「お食事セット」を携帯しました。しかし、フォークは1度も使うことなく帰国しました。どの店でもフォークが出るため、使う必要がなかったからです。日米の食文化の違いを感じました。アメリカ人はフォークとナイフで食事をします。周りがみなフォークを使っているので、妙な心地よさを感じました。このことを生徒に話すと、「手で食べている地域があるって、社会の時間に習ったよ。いろいろな食べ方があるんだね」と言っていました。



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