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2004/04/14 掲載 「新任校-「障害者が担任」当然の風景に-朝日新聞秋田版朝刊」

4月。それぞれの新しい生活が始まり、人との出会いがあります。この時期、すべての人に良いスタートを切ってほしいと願っています。 

今年度から、秋田市内のすべての小・中学校は、4〜9月までを前学期、秋休みを挟んで、10〜3月までを後学期と呼ぶ2学期制となりました。5日の新任式で生徒と初めて会い、母校での教師生活が始まりました。 

3月26日、新任校へあいさつに行ったとき、前校長先生(前年度の校長先生は退職されて、今年度は新校長が着任されました)から校内人事の話がありました。「1年部の学年所属で、がんばってほしい」。教師生活4年目ですが、今年度も念願の学級担任を持つことができませんでした。「どうしてなのだろう」と疑問に思い、その場で理由を聞きました。一つは安全面、もう一つは生徒や保護者の意見が分からないということでした。 

僕は、地震や火事が起こった場合の対応は、学校全体で考えることだと思います。学級担任で安全面が心配ならば、授業中でも同じことが言えます。前任校の土崎中では、1人で授業をしていました。僕の授業中、地震や火事が起これば、僕が対応することになります。土崎中の3年間、安全面では全く問題が起こりませんでした。また、不安に思う保護者がいるのなら、「不安に思うあなたにこそ、心にバリアがあるのでは……」と逆に諭してほしいと思います。 

前校長先生は「差別はしていない」と言っていましたが、「障害があるからこそ、担任にできない」のでしょう。そこに差別を感じます。一人ひとりの生徒が「三戸先生は障害があるから担任になれない」という偏見を抱くことを心配しています。中学校数学教師になって、周りに「障害者は教師になれない」という人はいません。さらに一歩進んで、「障害者が学級担任をやっている姿が当たり前の学校風景」にしていきたいと思っています。 

「石の上にも三年」と言うように、学級担任を目指して、3年間の修行をしました。この先、何年間修行すれば良いのか……疑問を感じます。近い将来、今以上に障害者が身近な存在になり、障害者が学級担任をやることは、珍しくなくなる日がくると思います。また、そういう状況にしていかなければなりません。その一歩を踏み出していきたいのです。 

新任校は生徒・先生方が変わります。「ゼロからの出発」で、新しい人間関係を築いていきます。前任校の経験が新任校で通じるかどうか……このように悩みながら教師は成長していくのだなと実感しています。



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