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2004/02/18 掲載 「テレビ取材-見えた「生徒と作る授業」-朝日新聞秋田版朝刊 」

「僕の授業は、一体どのような授業なのだろうか」。僕自身、自分の授業を受けたことがありません。だから、いつも疑問が付きまといます。また、読者の中にも僕がどのように授業を実践しているのか、疑問に思っている方がいるような気がします。 

 最近、フジテレビ系(秋田テレビ)の番組「とくダネ!」の取材を受け、授業を客観的に見る機会がありました。6日に放送された番組をビデオに録画して、友だちと一緒に自宅で見ました。第1に感じたことは、僕の言葉についてです。生まれつき言語に障害があります。だけど、話をしているときは言語に障害があることを感じません。皆さんも同じように、自分の言葉を自分で聞くことはできません。改めて放送を通して自分の言葉を聞いてみると、モゴモゴしているなという印象を持ちました。その僕の言葉を生徒は「全く違和感がないよ」と言って聞いていることに、「慣れる」ことの大切さを感じました。 

 2番目に、僕の授業です。僕の授業のモットーは「生徒と一緒に作る授業」です。このモットーが放送では具現化されていました。4月、僕が授業を担当することになった生徒には、必ず言っている言葉があります。 

 「僕は、僕一人では授業を進めていくことは困難。でも、僕の目の前には皆さんがいます。僕は板書、グラフや図を書くことが困難。でも、皆さんが僕の代わりに書いてくれるのなら授業ができます。皆さんと一緒に授業を作っていきたい」 

 初めはキョトンとしていた生徒も、僕の授業に「慣れ」てくれたので、順調に1年間の学習内容を終えられそうです。 

 「黒板のココに、点Pを書いてくれる人」「三角定規を使って、平行線を書いてくれる人」と生徒に投げかけます。生徒が自主的に手をあげてくれるまで待ちます。「僕の困難さをみんなで支えあうことによって、困難でなくなる」。このすばらしさを生徒一人ひとりに感じてほしい……授業を通して、「人は一人でなく、一緒に生きていくもの」と伝えたいと思っています。 

 僕の授業を評価するのは、誰でもなく僕の授業を受けた生徒たち。その生徒たちは僕の授業を「ふつう」と言ってくれています。「すばらしい」と言ってくれるように、さらに「ガクちゃん先生」の授業を高めていきたいです。もちろん、数学教師として、生徒一人ひとりが数学の力を身につく指導をしていきながら。



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