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2004/01/21 掲載 「雪−今も鮮明・ゲレンデの滑走感−朝日新聞秋田版」

年末年始の晴天はうそのように、寒さの厳しい日々が続いています。いよいよ「秋田の冬到来!」と思っているこのごろです。雪国育ちの僕は、冬の季節は雪で遊んできました。近くの公園で友だちと雪合戦をしたり、雪だるまやかまくらを作ったり……雪を見ると、子どもの頃を懐かしく思い出します。最近、雪が降ったといっても、随分と積雪量が少なくなったと感じます。近くの公園で、雪合戦で遊んでいる子どもをほとんど見かけません。何だか、とても寂しいなあと思います。 

 山形大学での学生生活。冬になると、サークルのスキー合宿があり、毎年サークルのメンバーと蔵王へ滑りに行っていました。大学の宿泊施設は、ゲレンデを滑り降りた所にありました。 

 友だちにスキー靴を履かせてもらい、スキーを履いた途端、急に足元が不安定となり、尻餅をついてしまいました。スキーを履いているため、自力で起き上がろうとしても無理でした。下を向くと、結構急な傾斜。「ここを滑り降りるの」と不安がる僕の背中をポンと押してくれて、一緒に滑りました。友だちは「足を八の字にして、下りて来い」と言うんですが、足に持続的な力が入らない僕は、気が付くと足が真っすぐになっていました。急激にスピードが出て、怖くなり、尻餅をつきました。 

 何十回、繰り返したか分かりません。その度、友だちに起こしてもらいました。うまい人なら5分で滑り降りるところを1時間かけて、滑り降りました。 

 宿泊施設に着いた時の達成感が、再び僕をゲレンデへと向かわせました。何度滑っても、途中から加速していき、尻餅をついて、友だちに起こしてもらうことを繰り返しました。だけど、雪の上を滑っている感覚は今でも鮮明に覚えています。気持ちのよいものです。 

 冬休みが明けて、14日から学校が始まりました。今も電動車いすで通勤しています。路面がツルツルの場合や新雪の場合は、電動車いすで移動ができます。転んだ場合、つかまる支えがなければ、自力で起き上がることができない僕にとって、電動車いすの方が徒歩より安全です。 

 ただし、雪が溶け始めると、車が雪に埋もれてしまい、進むことができません。毎日、天気予報を見て、朝の空を見て、電動車いすか徒歩か……通勤手段を考えています。これがまた、意外と楽しいです。



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