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2003/08/27 掲載 「数学−お互いに教え合うよさ−朝日新聞秋田版朝刊」

「先生はどうして数学の先生になろうと思ったんですか?」「先生、数学好きなの?」―。 

 生徒から時々、こんな“質問”を受けます。とても大切なことだと思い、いつも次のように答えています。 

 中学校のころから、僕は数学が体育の授業に次いで好きでした。計算問題で早く正確にできたときの爽快感、文字を使うと奇数を「2n+1」、偶数を「2n」と一般的に表現できることなどは、僕の知的好奇心をくすぐりました。 

 正答は一つですが、答えまでの道のりがいっぱいあります。一つの問題に様々な見方や考え方があります。授業でやり方の違う友だちの発表を聞いて、「こういう見方、考え方もあるのか」とワクワクしていました。好きこそものの上手なれ。どの教科よりも数学を勉強していました。 

 高校生2年生の時でした。授業中、先生が三角関数で「超難しい問題だ」と言って、僕を当てました。自信はありませんでした。渋々答えると、「正解!」と大きくマルをつけてくれました。 

 授業が終わると、クラスのある女の子が「さっきの問題、教えて」と話しかけてきてくれました。好意を抱いていた女の子の質問に、どのように答えたのか覚えていません。でもその日、家に帰ってからもひたすら数学の勉強をしたことを覚えています。 

 その後、クラスの仲間たちからもよく問い合わせを受けるようになりました。間違ったことを教えるわけにいかないし、答えられないのも失礼だなと思い、毎日のように数学の勉強をしました。「数学を通して仲間と打ち解けることもできるんだな」と思い、より一層の励みになりました。このときの体験が現在につながっています。 

 “質問”に、「数学ができると、モテルよ」と答えると、生徒は「そうかなぁ」とつぶやき、首をかしげていました。数学のよさはお互いに教え合えることだと思っています。このことを伝えたいと思い、数学教師を目指しました。 

 2学期が始まりました。生徒と一緒に過ごす学校生活を大切にして、長い学期を乗り切りたいと思っています。 



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