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2004/12/01 掲載 「卓球大会で全敗-夢実現に努力すること大切-朝日新聞秋田版朝刊」

11月20、21日、大阪・舞洲で開かれた「第5回日本障害者卓球選手権大会」に参加しました。4年前に肢体不自由者と知的障害者の二つの卓球選手権が統合された大会です。パラリンピックやフェスピック(アジア・オセアニア地域の身体障害者スポーツ大会)などの国際大会への選手選考を兼ね、国内トップ選手の多くが参加します。 

 この大会は、パラリンピックなどと同じ細かくクラス分け(12段階)されているため、障害の程度がほぼ同じ選手同士が対戦します。そのため、白熱する試合が多いのです。予選は無く、日本肢体不自由者卓球協会や日本知的障害者卓球連盟の登録会員ならば、参加資格が与えられます。 

 僕は立位で、右手にシェークハンドのラケットを持ち、卓球をします。両足に障害があるので、機敏な動きはできません。コースを突かれると、うまく反応できません。それは、相手も同じことです。「自分が取れないコースは、相手も取れない」と思い、コースを狙う練習をしてきました。 

 20日の個人戦に出場しましたが、結果は予選リーグ3戦全敗。1セットも取れないで負けました。今年で3度目の出場でした。今まで不戦勝はありましたが、試合で勝ったことはありませんでした。「今年こそ初勝利を」と練習を積み重ねましたが、自分のペースの試合運びになりませんでした。フワ〜と上がったボールや、つないでいけばよいボールを強引にスマッシュをして、ミスを繰り返しました。早く自分のペースをつかみたいと思うあまり、相手に試合の流れを与えてしまいました。 

 大阪に出発する前、同僚の先生方から激励されました。あるクラスでは「先生、初勝利がんばって。定期テストの勉強をしながら、応援しているよ」と励ましの声。生徒や先生方の気持ちに、初勝利で応えたかったのですが……。 

 大会後、クラスの生徒や卓球部員たちに結果を報告しました。「試合に負けてかなり落ち込み、卓球に向いていないのかなと思いました。だけど、しばらく考えていたら、卓球が好きだと気づきました。すると、来年に向けて、再び練習をがんばりたいと思いました」。いずれも、生徒は黙って聞いてくれました。 

 僕の話をどのように感じ取ったのかは分かりません。「一人ひとりの生徒が夢や目標を持って生きてほしいと願うのなら、まずは自分が夢や目標を持って生きたい。そして、生徒にその素晴らしさを伝えたい」。これは僕の持論です。 

 夢や目標を持ち、それに向かって努力しても、必ず達成されるわけでない。しかし、夢や目標に向かって努力していかないと、達成することができない。このことを僕は卓球を通して、生徒一人ひとりに伝えていきます。僕とかかわった生徒一人ひとりが夢や目標を大切にして生きてほしいと願っているので……。



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