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母に捧げる詩


「お母さん」 

 

僕は今日十八才になります 

 

大森山や雄物川 

 

ちっともかわっていないのは 

 

なんだか不思議な感じがしますね 

 

この頃肥えてきた分 

 

社会に寄生する魔物が恐ろしかった 

 

こんな人間にはなりたくないと思いつつ 

 

いつか僕も 

 

本音と建前を使い分けることに 

 

でもまだまだ僕には……… 

 

自ずと消滅していきそうで 

 

「お母さん」 

 

面と向ってはしばらくぶりなので 

 

少し照れ臭いです 

 

人生苦しいことばかりではない 

 

そんな生きる喜びを 

 

僕はむくもりから教わった 

 

仮死状態で生まれてきた僕を 

 

どんなに悔やんだことか 

 

本人でさえもあるのですから――― 

 

僕はお母さんを背負うことができない 

 

なんて親不孝な息子なのでしょう 

 

結局僕には 

 

精いっぱいにいきていくしかないのです 

 

だからこの定められた運命を全うします 

 

どんなことがあっても――― 

 

「立派な人間になりなさい」 

 

真っ暗な部屋で 

 

一人悔し涙に溺れていると 

 

いつも慰めてくれたこの言葉 

 

今となって猛烈に響きます 

 

どうか優しく見守って下さい 

 

きっと僕は 

 

”立派な人間”になって見せますから 

 

第12回秋田県高等学校文芸コンクール詩部門 第三席
 

第 9回全国高等学校文芸コンクール詩部門   入選
 



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